豆知識

豆知識-日本とエルメスのおもしろいコラボレーション

エルメスの歴史が漫画に

5代目のデュマ社長が中央公論社に漫画で社史を作りたいと依頼し、漫画家の竹宮惠子さんが執筆した伝説的な漫画があります。
出版されたのは1997年で、社長直々に「馬に乗れる人であること、馬が描ける人であること」という条件があったと言われています。
デュマ社長の発案だったとのことですが、面白いのは彼が日本の漫画文化で社史を作る試みをしたことです。竹宮惠子さんの画風や従来取り上げられている漫画のストーリーがエルメス社に合っていたということもあるでしょう。
『エルメスの道 LE CHEMIN D'HERMES』というタイトルで出版されました。初代から5代目デュマ社長までの実に160年に渡るエルメスの歴史が描かれています。

THE ALFEEとコラボレート

またこの頃にTHE ALFEE のアルバム『orb』のディスクジャケットをエルメス社がデザインしています。この話は1999年当時かなりの話題になりましたが、実は高見沢氏がエルメスの社長と個人的親交があったとのことで依頼したと言われています。関係者やファンクラブしか発売されていないのでかなりのレアものです。
『orb』という楽曲自体がアートワークのイメージを楽曲化してエルメスに捧げており、その後同じアートワークをあしらったESP社の特注ギターがエルメス本社に寄贈されています。

豆知識-年間テーマによってその年のカラーが決まる

最初のテーマは花火だった

エルメスは毎年「年間テーマ」を設定し、スカーフやカナデ(南京錠)などのデザインに反映します。1987年に祝典でセーヌ河に花火を打ち上げてその年のテーマを「花火」として以来、現代に至るまで毎年テーマを発表しています。

たとえば88年は「エキゾチズム」、89年は「フランス」(フランス革命200年にちなみ)、90年「アウトドア」、91年「遠い国でのエルメス」など。またカナデ(南京錠)はそのテーマに沿ってデザインされますが、すでに芸術の域に達した素晴らしい逸品ばかりです。毎年購入してコレクションにしている方もいるくらいです

最近の年間テーマの傾向

毎年のテーマの傾向は、過去が何か記念日(たとえば革命や大陸発見など)にアイデアをもらって発表しているとしたら、2010年代はエルメスの集大成をイメージしているものが多いように見えます。2010年は「語りつがれる物語」、2011年「現代(いま)に生きるアルチザン」、2012年「時の恵み」、2013年「スポーツは素敵」、2014年「メタモルフォーズ」…。

ちなみに2014年の発表会ではお台場の潮風公園で運動会のようなイベントが催されました。既成概念に囚われず自由な発想でテーマの発表イベントを行うエルメスのクリエイティブ性にみなさん驚かされたようです。毎年テーマを決めて、その世界観を表現するエルメス。世界的ブランドで160年以上も人々から支持される理由がわかりますね。

エルメスに関する豆知識-エルメスのオレンジBOXとロゴ

箱や包装紙がオレンジの理由

エルメスというと箱や包装紙は決まって濃いエルメスオレンジです。実はエルメスの包装紙は薄いベージュだったのです。戦前(第二次世界大戦)以前は薄いベージュで包装していましたが、大戦中に物資が不足したことから包装紙が調達できない状態になりました。オレンジ色の紙を包装紙として使用しました。

戦後、物資が手に入るようになると元の薄いベージュに戻そうとしたところ、すでに顧客がこのオレンジがエルメスの印象であり、馴染んでいるという意見が多かったので、そのまま継続して使用するようになりました。

終戦した時は1945年です。この年エルメスはエルメスの商標である『四輪馬車と従者』が登録された年でもあります。戦中の物資不足を乗り切り、戦後は新しいイメージと過去の経験を融合させた新エルメスとしてスタートしました。今ではメゾンの象徴のようになっているオレンジ色ですが、そんな過去があるとは想像できませんね。

ロゴに隠された意味

オレンジBOXに印刷されている商標の馬車のロゴですが、このロゴの元はフランスのパリのミュゼである「エミール・エルメス・コレクション」の一つです。この絵には「ル・デュック」と呼ばれる馬車と従者が描かれています。

エルメスは過去、高級馬具メーカーとして君臨してきましたが、描かれているのは従者がひく馬車でなく主人が自分で御す馬車です。エルメスは「最高の品物を用意しますが、御すのはお客様自身」であるという意味を持たせていると言われています。エルメスのアイテムを手に入れ、本当に真価を発揮させるのは、お客様なのだというメッセージなのです。


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