ボリード31の人気と魅力

馬車から自動車に代わったことで作られた『ボリード』

名前の由来

バーキンやケリーと並び、エルメスを代表するブランドアイコンになっている『ボリード』というバッグがあります。

このバッグは少し変わった歴史があります。エルメスは元々高級馬具を専門に、王室御用達として展開していました。
3代目のエミール社長が馬車の終焉を感じ、自動車時代の到来を予見したことがエルメス社の転換期だったと言われています。
フランスのブガッティ社はエルメスに依頼して『ブガッティ』というバッグを販売していました。当時高級クラシックカー『ブガッティ』の前部にあるラジエターの半楕円形の形に似ていることからその名が付けられました。
しかしこの半楕円形バッグはブガッティ型として定着したためにエルメスは1923年に『ボリード』(レーシングカーの意味)という名前に変更したのです。

世界初のファスナー付きバッグの誕生

そしてエミール社長が海外に軍用の革を仕入れにカナダに派遣された時に自動車の幌(ほろ)を留めるファスナーに出会い、世界で初めてバッグにファスナーを付けて発表しました。たくさんの荷物が入り、荷物の出入りもしやすく、安全性が高い旅行バッグとして大好評になりました。

これが『ボリード』の始まりです。自動車に載せるために生まれたバッグと言っても過言ではありません。1950年代には一時、注文生産でしか販売されていませんでしたが、1982年にコレクションに復活したことで多くのファンから愛されています。

『ボリード31』が人気の理由

当時は画期的なアイデアのバッグだった

20世紀初頭を席巻した『ボリード』は、当時は今では当たり前のように使われているファスナーが付いた画期的な旅行バッグでした。
1923年に『ボリード』という名前に変わりますが、現在その前の名前である『ブガッティ』を復刻したモデル『ボリード1923』も人気があります。

今ではファスナーが付いた安全性が高いバッグは当たり前になっていますが、当時は画期的なアイデアでした。
また開口部が大きく開くので出し入れがしやすいのも特徴的です。

正面に縫い付けられているネームタグはオーナーのイニシャルを焼き付けるためのパーツです。1950年ころは注文生産されていたことを考えると、旅行用バッグとして誕生した名残のネームタグというのもよくわかります。

日本人の女性に使いやすいサイズ

サイズとしては『ボリード』には6つのサイズが展開されています。

  • 15(幅15×高さ12×奥行き7cm)
  • 21(幅21×高さ15×奥行き7.5cm)
  • 27(幅27×高さ20×奥行き10cm)
  • 31(幅31×高さ25×奥行き12cm)
  • 37(幅37×高さ27×奥行き14cm)
  • 47(幅47×高さ35×奥行き24cm)

中でも『ボリード31』は使いやすさと抜群の存在感で、どのようなファッションにも合わせやすいという理由で非常に人気が高いサイズになっています。実際日本人の女性であれば平均的身長を考えた場合、この31というサイズが一番しっくりくるようです。
実は復刻サイズのエルメス・ボリード30というサイズもあります。大きさで言うと27では汎用的に使いにくく、37は仕事用という見方が多いようです。そのため誰にでも使いやすいサイズ『ボリード31』に人気が集まるのです。

色々なタイプの『ボリード31』

人気の牛革は種類やカラーもたくさん

『ボリード』と言うとすぐ思い出されるのは牛革です。
エルメスが元々高級馬具メーカーであったことを考えると当然なのかもしれません。人気が高いのは、いまだに革製の『ボリード』です。革は使い込むほど持ち主の色になります。そのため長く使いたい方は革製の『ボリード』を大事に使っています。

牛革は種類やカラーもたくさんあり、選択する時には自分に合う色や普段のファッションと照らし合わせて考える必要があります。もちろん使うシーンやシチュエーションを想像して、お求め頂くのが一番です。

牛革製のカラーでは黒やブラウンなどが定番ですが、2006年度以降に発表されたベージュグレーのようなカラー(トゥルティールグレー)も洗練されたカラーとして人気が高いものです。使い込むほどに自然な革本来の味わいを増すトリヨンクレマンスのくったりとした質感は一度使ったら忘れられないと言われています。
またピンクやオレンジも人気のカラーです。革全体に型押し加工されたものもあり、手触りや輝きが使い込むことによって変わるので、色々な選択肢が楽しめるのも『ボリード31』の良いところです。

カナデとは

どの『ボリード』にも必ずカナデ(南京錠)クローシュ(鍵)鋲(びょう)ショルダーストラップが付いています。そもそも旅行バッグが原点なので、その名残でカナデと呼ばれる南京錠が付いています。

かつてカナデはゴールドが中心でしたが、今ではシルバーやマットシルバーもあります。年間で色々なテーマでデザインされるカナデに関しては、デザインが中心で鍵はかからないようになっています。アクセサリー感覚で楽しむアイテムとなっています。


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