エルメスというとまずケリーバッグを思い出される方も多いでしょう。
モナコのグレース王妃が愛用したことで世界的に有名になりました。王妃の結婚前の姓である『ケリー』が付いたこのバッグにより、エルメスの技術の高さとクリエイティブ性を知らしめることになりました。
エルメスは元々馬具工房として出発しましたが、自動車の発展と同時に馬車が衰退することを予見した創業者の3代目エミール氏が、カバンや財布といった皮革製品を中心とした事業に移行し、成功を収めました。
エルメス社の代表的なバッグがケリーだと思われている方も多いでしょうが、『ボリード（Bolide）』の方が圧倒的に長い歴史があります。1920年に『ボリード』は『ブガッティ』という名前で発表されました。
その名の由来はフランスを代表する、走る宝石と言われた高級自動車ブガッティから来ています。自動車の前部にある半楕円形のラジエターに形が似ていることから付いたとも言われています。
実はブガッティ社はエルメス社に依頼して現在の『ボリード』と同じようなバッグを作らせて販売していました。ただしこのバッグが『ブガッティ』型として広まったために、エルメス社は1923年に名称を『ボリード』に変更し自社ブランドとして展開しました。
ちなみに『ボリード』とはレーシングカーという意味です。そしてこのバッグは世界で初めてファスナーが付けられた革製のバッグとしても有名です。カジュアルにもフォーマルにも似合う優美な曲線が特徴で、特に『ボリード31』は最も人気が高い幅のサイズとなっています。
『ボリード31』は世界で初めてファスナーが付けられた革製バッグです。
これはエルメス社の3代目社長エミール氏が第一次世界大戦の最中に、軍隊用の革を仕入れるためにカナダに行き、そこで自動車のホロを留めるファスナーに出会いインスパイアを受けました。帰国して特許を取得した後、バッグの収納口にファスナーを取り付けて発表しました。
このバッグは荷物の出し入れが楽であるだけでなく、旅行用としてもたくさんの荷物が入れられ、開口部がしっかり閉まるという機能面でもたくさんのお客様から支持を受けるようになりました。このバッグは、高級馬具メーカーとして有名だったエルメスが、馬から車に視点を変えた由緒あるシリーズです。
一番人気の『ボリード31』は幅31cm×高さ25cm×奥行き12cmで、前後の27と37も31に次ぐ人気です。中でも31の魅力は実用的で使いやく定番のサイズです。サイズは幅15cmの『ボリード15』を始めとして、幅47cmの『ボリード47』まで6パターンあります。1950年代は注文生産が中心でしたが、1982年にコレクションに復活し、今では多くの方に愛用されています。
今年のラインナップは「ヴォー・スウィフト」「アリゲーター」「シルクツイル」「トリヨン」です。今までの単色展開から、異素材（革＋ファー）の組み合わせやクロコダイルの型押し、白黒2色の革コンビ、もちろん定番のグレー系など『ボリード31』の新たな魅力が楽しめるラインナップです。
『ボリード』は、自動車で移動する際に中身が飛び出さないようにとファスナーが付けられたと言われています。最初に作られてからフォルムなどは変わらないまま、現代のエルメスにまで受け継がれている歴史あるバッグです。
特徴はそのファスナーを中心とした完成された各パーツの美しさです。ゆったりした容姿を持ちながら、無駄な部分がないスマートさがあります。カジュアルでありながら、フォーマルにも活用できるすぐれたバッグです。
また、多様なサイズ展開をしているので、大きさによってさまざまなシーンに活用できます。
中でも人気の『ボリード31』は横幅31cm×高さ25cm×奥行き12cmというサイズです。
特に2006年のコレクションであるエルメスの定番色と言える存在のトゥルティールグレー（薄いグレーベージュのような絶妙なカラー）などはエレガントでありながら若々しいカジュアル感も備えており、色々な洋服ともコーディネートしやすい1品です。
使いやすさや存在感が丁度良いだけでなく、どのようなファッションにも合わせやすいと評判です。
特に『ボリード31』は日本人の女性の背丈に合うと言われ、バッグだけが主張せず普段のコーディネートにプラスするだけで見た目もワンランクアップしてくれます。もちろん仮に『ボリード37』をお使いになられても問題ありませんが、大き目に作られているので仕事用として活用される方が多いのです。
逆に『ボリード27』は小さめなので荷物が多い方には物足りないと感じる方がいるかもしれません。
このようにサイズによって色々な使い方ができるのも魅力ですが『ボリード31』は使いやすさと存在感という点で一番人気が高いのです。
